格安SIM会社(MVNO)が全盛期を迎え、今や携帯電話会社は群雄割拠の時代に突入しました。
サービス料金の安い格安SIM会社に押されがちな大手携帯キャリア(ドコモ・au・ソフトバンクの3社)ですが、格安SIM会社にはないメリットがあります。
それは「データ通信速度の安定した速さ」です。
格安SIM会社は、大手携帯キャリアからデータ通信施設を間借りしているため、その関係上、施設量が足りないなどの原因から回線が混雑します。
一方、大手携帯キャリアは、データ通信施設を全て自社所有しており、施設量も多いことから、格安SIM会社より安定した高速通信が可能になります。
しかし「大手携帯キャリアの方が格安SIM会社より通信速度が速いので契約したいけど結局どこが一番速いの?」と思う方もいらっしゃるはず。
そこで今回は、「携帯キャリアの通信速度を徹底比較!!安定した速さを手に入れよう!!」と題し、その実態に迫りたいと思います。
通信速度を測る基準は総務省のガイドライン
早速、通信速度を比較していきたいのですが、困るポイントとして「一つの地域だけで速度を測っても、適正な比較にならない可能性がある」と言うことが挙げられます。
例えば、北海道と東京で同じ時間に通信速度を比較しても、それぞれの計測地域の時間帯や地形などによって通信速度が変わってしまったりと、正確に通信速度を比較することが難しいのです。
対照実験をおこなうにしても、データ通信の状況がバラバラだと意味がありませんよね。
このような問題に対する一つの解決案を示してくれるのが「総務省のガイドライン」。
この総務省が作ったガイドラインに合わせて、ドコモ・au・ソフトバンクの各キャリアが自社回線の実効速度(平均した際の速さはどの位なのか等)をデータで開示しています。
今回は、総務省が公開している情報を基に各携帯キャリアの回線速度を考察と合わせてお届けしていきます。
各キャリアの通信速度を徹底比較!
実効速度を見ていく前に総務省のガイドラインを簡単にまとめてみました。
- 計測員が実際に各地域に赴き速度調査をしている
- 計測場所は政令指定都市、県庁所在地など人口密集地を人口別に3つに分割。総務省が決めた中立的機関が各分類からランダムに選んだ合計10都市を選定して調査
- 昼間など、通信が集中する時間帯に計測をおこなう
- 1地点で3回計測し、3回の平均をその地点の通信速度とする
- データの最大値・最小値及び平均値を簡単に視覚化できる箱ひげ図で通信速度をグラフ化
- Android、iOS別に、総務省ガイドラインに沿った各事業所共通ソフトにて計測
項目が多いですが、簡単に説明すると
「一番混雑する時間帯に合わせ、スマートフォンのOSや計測ソフトをある程度統一した状態で各地域の平均値を計測、集計しています。」
と言うことです。
全てを完全に一致させた状態でと言うことではありませんが、対照実験で速度比較するにはベストな計測方法と言えます。
それでは、実際に各キャリアの実行通信速度を見ていきましょう。
ドコモの通信速度を検証
ドコモの通信速度をAndroid、iOSに分けてまとめました。
Android、iOSの速度の違いについても注目して下さい。
Androidでの実効値
最大値 | 中央値 | 最小値 | |
---|---|---|---|
下り | 422Mbps | 190Mbps | 20Mbps |
上り | 39Mbps | 23Mbps | 3Mbps |
iOSでの実効値
最大値 | 中央値 | 最小値 | |
---|---|---|---|
下り | 358Mbps | 172Mbps | 19Mbps |
上り | 38Mbps | 22Mbps | 1Mbps |
考察
混雑する時間帯を中心に計測されていますが、かなりの速度が出ていますね。
下りの平均値は190で「WI-fiによる家庭ネットワーク」並みに高速です。
上りは中央値が23と、もう少し早くてもよさそうですが、ユーザーが大量にデータを送る場面(上り)は、ネットからの受信頻度(下り)より少ない傾向にあるのでこの位で十分です。
また、Androidの方がiOSより若干上向きの数値が出ています。
これは、日本のAndroidユーザーがiPhoneユーザーより少ないため、下り・上り共にユーザーが多く、回線が混雑しやすいiPhoneより若干速度が速く出ていると言うことでしょう。
auの通信速度を検証
auの通信速度をAndroid、iOSに分けてまとめました。
Android、iOSの速度の違いについても注目して下さい。
Androidでの実効値
最大値 | 中央値 | 最小値 | |
---|---|---|---|
下り | 346Mbps | 101Mbps | 21Mbps |
上り | 85Mbps | 28Mbps | 1Mbps |
iOSでの実効値
最大値 | 中央値 | 最小値 | |
---|---|---|---|
下り | 360Mbps | 83Mbps | 19Mbps |
上り | 30Mbps | 14Mbps | 1Mbps |
考察
ドコモと比較した際、全体の下り最大値Androidの346がau、422がドコモとかなり差がついていることが分かります。
ただし、auも中央値がAndroidの「101」と、家庭Wi-fi並みに速度が出ていることには変わりありません。
上りに関しては、auがAndroid最大値「85」、ドコモが「39」とauが上回っています。
iOSの上り速度では全体的にドコモが上ですね。
ソフトバンクの通信速度を検証
ソフトバンクの通信速度をAndroid、iOSに分けてまとめました。
Android、iOSの速度の違いについても注目して下さい。
Androidでの実効値
最大値 | 中央値 | 最小値 | |
---|---|---|---|
下り | 299Mbps | 104Mbps | 19Mbps |
上り | 70Mbps | 26Mbps | 2Mbps |
iOSでの実効値
最大値 | 中央値 | 最小値 | |
---|---|---|---|
下り | 305Mbps | 89Mbps | 14Mbps |
上り | 32Mbps | 23Mbps | 1Mbps |
考察
ソフトバンクはAndroidで中央値「299」とauより速いですがドコモよりは低速です。
上りでは、iOSの中央値が「23」とauの「14」を上回っているのですがこちらもドコモよりは小さいです。
中央値は上り・下り問わずauより全体的に高く、安定した速度はauより出やすいと言う印象を受けます。
大手携帯キャリア3社の通信速度を比較した感想
ここまでの説明から
- au・ソフトバンクよりもドコモが全体的に上り・下り共に速い
- au・ソフトバンクは各値で差が出ているものの大きな違いはない
と言う2つのことが分かります。
最近は、地域の電波カバー率を増やすため、au、ソフトバンクが施設を増強していることから、今までは通信不可能だった地域でも余裕で携帯電話を使えるように改善が進められています。
しかし、携帯電話サービスを長年に渡って提供しているドコモは頭一つ抜き出ており、基の施設量が多く、安定した高速通信サービスが使えるようです。
通信速度で選ぶなら大手携帯キャリアで決まり!
キャリア同士の通信速度を比較しながら、どのキャリアが一番速いのか説明させて頂きました。
やはり、長い歴史を持つドコモは、通信用の設備が整っていることを実感できたと思います。
データ上でも、ドコモの通信速度がau、ソフトバンクより優れていることが実証されていますからね。
ですが、どのキャリアも家庭Wi-fi並みに速度が出ていることに変わりありません。
地域によっては、au、ソフトバンクの方が繋がりやすい場合もあると言うことを覚えておきましょう。
安さでは格安SIM会社に見劣りしますが、通信速度から見たときは間違いなく大手携帯キャリアの方が優れています。
安さ、速さのどちらを重要視するかで大きく変わりますが、「とにかく速度を一番重視する」と言った方は、迷わず大手携帯キャリアを選びましょう!
- クイックチェンジ編集部
- クイックチェンジ編集部は、キャリア決済現金化に関するさまざまな知識、携帯電話のお役立ち情報をいち早くお伝えするために日々活動しています。こちらの記事に対し、ご意見、ご要望など御座いましたらお問い合わせフォームより編集部までご連絡ください。お送り頂いた内容を確認した後、次回の更新時に反映させて頂きます。